1.分娩直後は乾草(ルーメンマットの形成)が先、水はあと
分娩を終えた直後の母牛のルーメンは油が煮えたぎった状態だと想像してください。そのようなとき、まずもって新しいルーメンマットでルーメンにふたをしなくてはいけません。そこで分娩30分以内に乾草を十分に食べさせます。そうすればルーメンマットが形成され、ルーメンが落ち着き、分娩のストレスが和らぎます。
分娩2〜3週間に食欲が落ちるのは乳牛にとって本能です。
ルーメンマットはヨレヨレの状態になっています。泌乳期に高濃度の飼料を食べさせるためにも、もう一度しっかりしたルーメンマットを形成する必要があります。
水、味噌汁などの液体は、分娩牛が乾草を十分に食べた後に与えます。水を先に与えると乾草の摂取量が減るのが心配です。
2.フレッシュ・カウの対応プログラム
分娩直後の牛をフレッシュカウと言います。フレッシュカウを上手に泌乳期に移行させるには、次の健康チェックが必要です。
分娩牛を上手に管理するにはフレッシュ・グループを作るとよいでしょう。このグループはパーラーに一度に入るだけの頭数に限定し、5日間健康チェックを行います。
(1)食欲を毎日チェックして、それぞれ次のような対応をする。
- ■スコア1:飼料にまったく興味を示さない牛
- ステロイド剤(食欲刺激)、抗ヒスタミン剤(気分を高める)、ブドウ糖(栄養)、ビタミンB(ルーメンの活発化)を投与する。
- ■スコア2:飼料に少し興味を示す牛(初産に多い)
- ルーメンの働きを4時間ごとにチェックする。
- ■スコア3:食欲のある牛
- 食欲が続くか3〜5日間監視する。
(2)ルーメンの動きをチェックして、それぞれ次のような対応をする。
- ■1分間に1回以下の動きの牛(極度に重い)
- カルシウムの静脈注射で筋肉の動きをスムーズにするすぐに利用できる糖分(ブドウ糖など)を与える。
- ステロイド剤を投与(1日1回10cc、3日間のみ)
- 抗ヒステミン剤を投与
- ■1分間に2回以下の動きの牛(遅い)
- ステロイド剤を投与
- ビタミンB投与でルーメンの動きを活発化する
- ■1分間に2〜3回の動きの牛(正常)
- 監視を続ける
(3)体温を計る
高熱は初産牛なら39.2度以上、経産牛なら39.4度以上。
(4)肺、心臓をチェックする。
3.その他に分娩牛(フレッシュカウ)の管理で注意すること
- 乾草を忘れずに置く。24頭にベール1日1個与える。
- 介助するお産があれば、管理プログラムに間違いがあるとの忠告だと考える。
- 分娩直後にルーメンの代謝をよくする目的でビタミンE(40cc)とセレニウム、ビタミンBを投与する。ルーメンの代謝と生殖器の健康には相関関係がある。
- 分娩後2〜4時間でフレッシュカウグループに移すが、後産が残っていればオキシトシンを投与する。
- 分娩牛の健康チェックは記録にとる。(ルーメンの動き、体温、肺、心臓をチェックする)
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