アブレストパーラー工事の実現
約3年前の2007年6月。乳房炎が多く出ていた時期にミルキングシステムの点検依頼を受けて、初めて駒場牧場様を訪問しました。
当時、駒場牧場様ではバキュームポンプの排気能力不足で6台のユニットを使用していました。
しかしこの時の分析によって、本来は「4台のユニット使用能力である」ということがわかりました。
すると早速この夜に4台のユニットで搾乳を試みたそうで、いままでと比べ6台のユニット使用時と時間もほとんど変わらず、何より牛が落ち着いていて、今まで比較的に多かったユニットの落下がなかったと、点検の結果報告に満足していただきました。
この点検より1年後に息子さんがアメリカ牧場研修から戻ってきたことにより、今回の事業がいよいよ本格的な話となり、2007年6月に初めて駒場牧場様を訪問してから約3年。ナスアグリサービスでの設置工事を希望していただき、今回のアブレストパーラーの工事が実現しました。
*平21畜産担い手しもつけ第五工区酪農設備工事
工事内容
今回の設置工事では、初めてウォークスルーアブレストパーラーにアフィーシステムを組み込むということで、効率よく機能させるために試行錯誤しました。
- 使用部材
- RMS社8頭シングルアブレストウォークスルストール
- アフィーシステム(エッセンシャルコントロールパネル、フロー2000ミルクメーター自動離脱機能付き)
- ミューラー社製バルクタンク(SENTRYⅢ)5000L
- RMS社製パイプラインロジック(自動洗浄装置)
- ステンレスミルクライン
- フォームイットディッピングシステム
- 他の取り付け工事を行いました。
工事工程
まずは、RMS社製8頭シングルアブレストストール用支柱埋め込み、カービングカバー取り付け工事から始まりました。
そして使用部材納入、さらに搾乳室用フロアーマット取り付け、アブレストストール組み立て作業です。
バキュームポンプ、コンプレッサー、バルクタンク、冷凍機の納入設置工事および、ステンレスミルクライン、洗浄ライン、バキュームライン、電気用配管取り付け作業。
パルセータライン、レシーバージャー~バルクタンクまでのミルクライン、バルクタンク~シンクまでの洗浄ライン、アフィーシステムの取り付け作業。
アブレストストール用ゲートシリンダーエアー配管、各機器への電気配線、バルクタンク~冷凍機への銅配管及び冷媒ガス注入、設置作業の完了。
最後に各機器の試運転、清掃、後片付け。そして、いよいよ午後の搾乳作業より新パーラーにて搾乳開始となりました。
稼働開始
搾乳開始初日は、午後5:30より搾乳を開始して午後10:30に終了しました。
今までもフリーストール牛舎から30頭の牛を、つなぎ牛舎へ移動させていたので牛の動きは比較的に順調だと思われましたが、それでも搾乳頭数64頭で約5時間かかりました。
しかし、2日目は午前5:30~9:00(約3時間30分)、午後6:00~8:00(約2時間)と順調に時間も短縮され、3日目以降は約1時間30分で64頭の搾乳が終了するようになり、牛がストールに入る早さに搾乳者の方が間に合わない位だと言われていました。
工事が終わり、駒場さんは「新しいパーラーに移したら乳房炎が出るのも覚悟していたけれど、1頭も出ていないし乳量も下がることもないし、すぐに牛がなれてくれた。何しろ1時間そこそこで搾乳が終わると体も楽だ」とおっしゃっていました。
又、奥さんには「夜、搾乳が終わるのが早くなって7時には家に上がってお風呂にはいれちゃうわ」「この分だと息子夫婦だけで搾乳出来そうだから海外旅行でもいけそう」と喜んで頂けました。
今回の工事期間中、駒場さんとの会話の中で、「ナスアグリサービスの施設視察で鳥取県の酪農家を訪問して良かった、パーラーだけでなくて、色々な事が新鮮で刺激を受けたよ、栃木の酪農もああ成りたいね」と何度もおっしゃっていたのが印象的でした。
今後は、駒場牧場のシステムが他の農場の方から「刺激を受けた」と言われるように、しっかりとフォローを行いたいと思います。
2010年4月11日