2010年2月カリフォルニア牧場視察 6日目

牧場視察・WORLD AG EXPO2010の報告

Dykstra Dairy
移動通路には必ずゴムマット

3500頭搾乳、総頭数7200頭の牧場。 D25パラレルがダブルのパーラー。 2回搾乳で従業員28名、うち10名が搾乳担当で、クローズアップ、フレッシュにXPを120グラム与えており、TMRは2種類で、初産、2産、3産目以降の群分けをしている。

ここは、Hiグループの牛のみをABSに委託して繁殖管理し、200日以降は種牛に任せているという。 ペイントステックは全頭に塗ってあり、空胎、妊鑑プラスで色分けしていた。

移動通路には必ずゴムマット

Dykstra Dairyに限らずどの牧場でも必ずゴムマットを全通路に設置していた。 外に出せない場合、乳牛の快適性には必需品と考えるべきである。

移動通路には必ずゴムマット

Johann Dairy
工夫された牛舎配置と美しい環境

80ポイントロータリー、3800頭搾乳、内850~1000頭のみ3回搾乳、他は2回搾乳。 マイコプラズマ性乳房炎が出たことからヨードのバックフラッシュを採用。 分娩舎は毎週必ず掃除し、ライムを撒いて殺菌している。

カーフハッチを交互に置く

Johann Dairyでは、仔牛のカーフハッチを写真の通り前後交互に置いている。そのため、仔牛が互いに舐め合うことが無く病気の感染は無く、仔牛の死亡率は1%以下だという。

更にカーフハッチを前後交互に置くことでハッチ間のスペースを少なくすることができ写真のように多くのハッチを直線に置くことができる。 80Pの他に分娩直後、病畜を搾るD16パラレルもある。

カーフハッチを交互に置く

飼槽通路から奥のベッドに寝ている牛を観察出来る牛舎

移行期の牛群のみ飼槽通路から片側2ローのベッドで段々畑のようになっており、手前側のベッドより奥の通路とベッドが高くなっており飼槽から奥に寝ている牛の状況を観察できるようになっている。 2段の段々畑に各々通路とベッドがある。

飼槽通路から奥のベッドに寝ている牛を観察出来る牛舎

環境美化

Johann Dairyでは、芝生を植え独自のセンスで素晴らしい環境を作りだしていた。 酪農は新鮮な牛乳を生産するところだが、反対に牛乳の3倍もの大量の尿と糞を生産する場所でもあり、酪農を知っている消費者から見ると汚い臭い場所のイメージが強いように思われる。 そこで酪農家は生乳生産並びに生乳搾取工場としての場所であることを第一に考え、牧場環境整備は非常に大切なことであるとカリフォルニアだけでなく海外の牧場に訪問するたびに思うことである。 Johann Dairyでは、レストランのようなミーティングルームもあり、パーラー前にはゴルフ場のような池付きの庭があり、とても良好な環境作りが行われていた。

環境美化

Dieper Sloot Ranch
従業員のディッピング状況をチェックするディッパーを使用

今回の研修で一番の搾乳頭数、6000頭の牧場。同じ建物の中にD50パラレルが二つ入っていて、他の場所にも2800頭の牧場を持っているという。東側の牛舎にいるトップ牛群は3回、西側は2回搾乳。コンピュータで個体管理をしており、繁殖ソフトと連動する耳票システムを取り入れている。

ここもAIはABSスタッフが行い,1人がAI、2人がペイントステックといった具合に4人1組で動く。

具合の悪い牛や乳房炎は、搾乳者が見つけ、その牛の足にIDを付けることによりソートゲートで自動的に違うペンに振り分けらそこで治療される。

乳量は34キロだが、雨の多い1月2月を過ぎると徐々に上がり、36キロほどになるという。 牛は太陽が長く出ているほど、乳量が増える。蹄浴にはホルマリンを使い、45分おきに自動的に交換される。

Dieper Sloot Ranch 従業員のディッピング状況をチェックするディッパーを使用

従業員のディッピング状況をチェックするディッパー

ファームショーのブースにも展示されていたディッパー。

何のためにディッパーの口に毛がついているのか解らないでいたが、Diepersloot Ranchでこのディッパーが使用されているところを確認できた。

これは完全に乳頭を入れないとディッピング剤により毛が乱れないため、頻繁に且つ完全にディップされているかチェックできると言う。

このディッパーの毛は取り換えが可能で搾乳のたびに交換し、使用する頻度が高いほど毛は乱れてくる(最初は中央にストレート)。

従業員のディッピング状況をチェックするディッパー

おわりに

『アメリカの大規模酪農家を参考に日本においての大規模酪農のイメージを膨らます』ことを目的に実施された7日間のアメリカ研修でしたが、ファーム訪問やWORLD AG EXPO2010見学などを通し、多くの多彩な製品に実際に触れることができ、アメリカの大規模酪農の現状を感じ取ることができました。

ナスアグリサービスにとってアメリカ研修は今後に繋がる有意義な形で終えることができました。

協力して下さった現地の方々をはじめ、我々をサポートして下さった皆様に深く感謝するとともに 此処にアメリカ研修の報告と致します。

一同

2010年2月カリフォルニア牧場視察

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