20年経過した牛舎
ループセクションやベッドは老朽化し、牛がベッドで寝づらい状態でした。 DCCウォーターベッドはカウコンフォートが向上し、暑熱対策としても効果があるということで今回の受注に至りました。
DCCウォーターベッド
2013年に発売した新型ベッドは前後で水が入るスペースが独立しているのが特徴です。 一体型や前後がチューブで繋がっている従来品に比べ、牛が寝る際の衝撃がより緩和され、床ずれによる飛節の腫れも軽減されます。
ベッドはコンクリートの上に固定しますが、コンクリートの温度は年間を通じて5~10℃ほどです。
冬場ではコンクリートと牛の体温で水が温められ凍ることはなく、逆に夏場ではコンクリートの温度で水が冷やされ、年間を通じて横臥時間が長くなります。
納入、設置工事
既存のベッド、ループセクションを撤去し、ベッドが傷ついたり浮いたりしないよう、コンクリート面を徹底的にきれいにします。コンクリート面の凹凸はサンダーを使って平らに均します。
欠けている個所や穴はセメントで補修します。 ここまでの作業が一番大変です!
まずはループセクションから設置します。腐敗しやすい下側のセクションがない構造です。 クランプ止めしているため、ループ取り付け後でも高さ、幅を変更できます。 万が一でもセクションが落下しないよう、クランプを柱に溶接しました。
ウォーターベッドはロール状で輸入します。
今回は1頭毎の幅を48インチ(122センチ)にしましたが、1インチ単位で製造可能です。1頭毎の幅の黄色ラインを目安にループセクションの位置を調整します。
位置を決め、端からアンカーボルトで固定します。
水道水を前側から15リットル、後側から30リットル計量しながら注入します。 1頭毎の幅が変われば、水の量も変わります。
注水したチューブ部分のベッドに穴をあけ、ボルトでしっかり塞ぎます。
セットになっているブリスケットボードの塩ビ管もアンカーボルトで固定します。
ループを水平に固定し、ネックレールを取り付けて完成です。 新型ループは腰角が当たらないよう工夫されています。
設置完成
牛が慣れるまでは、敷料を多くするのがポイントです。 敷料でベッドを覆い隠せば視覚的不安が解消され、ウォーターベッド特有の揺れも感じにくくなり、ベッドで寝るようになるそうです。
牛を移動させてから1頭目がベッドで寝るまでの時間はわずか10分ほどでした。1時間後には全体の1割の牛が寝ていました。
翌朝にはほとんどの牛がベッドで寝ていました。
敷料の量は牛の状況を見ながら徐々に減らしていきます。ベッドや牛をクリーンな状態に保つため、敷料は少量でも入れることをお勧めします。
片野様からのコメント
片野様からは、これまではベッドの上で立っている牛が多かったが、ウォーターベッド設置後初日の朝にほとんどの牛がベッドで寝ていたのには驚いたと話して頂けました。
投稿:2016年10月25日
ウォーターベッド設置のその後
2017年1月19日 追記
片野牧場様にウォーターベッドを設置して3ヶ月が経ちました。 牛がベッドで寝る時間は明らかに長くなり、敷料のおが粉は設置前と比べ1/10以下になりました。
ベッドの寝起きに慣れるまでネックレールはより前方に設置していましたが、どの牛もスムーズに寝起きするようになり、先日、規定位置であるブリスケットボードの真上に設置し直しました。
今後はベッド作業の軽減、床ずれによる飛節の腫れの減少、牛体がよりきれいになり、体細胞の減少といった効果が期待できそうです!